国内組のみで臨むEAFF E-1 サッカー選手権2017において、日本代表のキープレーヤーとなりうる5名の選手とは?
 

EAFF E-1サッカー選手権2017(以下、E-1)は初招集の選手にとっても大きなアピールのチャンスだが、選ばれた全メンバーにとってW杯への生き残りをかけたアピールの機会でもある。チームとして優勝を目指すことは当然として、その中でハードワークや指揮官が求める“デュエル”の強さに加え、自分の持ち味を存分に発揮して勝利に貢献することで、フルメンバーの中でもチームの重要な武器として評価される転機になるだろう。ここでは5名の注目選手にフォーカスする。

中村航輔(柏レイソル)

昨年のGK合宿に招集され、今年6月の親善試合シリア戦、最終予選のイラク戦に向けた代表メンバーに選ばれたが、そこから一度も試合に使われることはなく、前回の欧州遠征は西川周作(浦和レッズ)の復帰にともない選外となってしまった。しかし、土台となるトレーニングを積み重ね、柏レイソルで高いパフォーマンスを披露している中村の代表でのプレーを早く観たいファンは多いだろう。

高い集中力と研ぎ澄まされた観察眼でポジショニングを見極め、鋭いシュートも鋭い反応と素早いアクションで弾き返す。フィードが正確なだけでなく、味方からのバックパスを正確にさばくなど、攻撃面でチームに与えられる影響力も小さくない。

海外組の川島永嗣、さらに西川周作がFIFAクラブワールドカップ2017出場のために参加しない今回。東口順昭、2年前の同大会を体調不良で辞退して以来、2年半ぶりの復帰となる権田修一がライバルになるが、ここで出場チャンスを掴み、チームの優勝を支えるパフォーマンスを見せれば、GKの序列を崩していく転機になるはずだ。

大島僚太(川崎フロンターレ)

リオ五輪で中盤の主力を担い、最終予選のUAE戦でいきなり先発のチャンスを与えられたが、明らかにプレーが硬くなってしまい、本来の展開力を発揮できないまま守備でも課題を露呈した。その次の遠征には呼ばれたが出番無く終わり、その後はタイミングの悪い怪我などもあり招集されなかった。

今季は準々決勝まで勝ち進んだACLでのプレーなど、守備にも長足の進歩を見せていた大島。予選突破が決まった後の10月のニュージーランド戦とハイチ戦に向けメンバー入りが期待された。しかし、9月23日のヴィッセル神戸戦で左ハムストリングを負傷して選考の対象外に。ハリルホジッチ監督はメンバー発表において柴崎岳、齋藤学とともに名前を出して残念さをにじませた。

今回は1年ぶりの復帰となったが、指揮官は清武弘嗣とともに「怪我が少し多い選手たち。最終的にA代表に残るにはコンディション」と釘をさしている。大島は日本代表の基本スタイルの中で正確なパスや相手の裏を取るターン、決定的なスルーパスなど持ち味を活かし、ボランチやインサイドハーフの位置から得点に絡むプレーが求められる。また守備面の成長も彼よりサイズが大きく、力強い相手に対して見せたい。能力は間違いなく評価されており、あとは代表チームで示すのみ。そうしたパフォーマンスのアピールに加えて、そこから次の選考まで怪我をしないことも重要だ。

髙萩洋次郎(FC東京)

サンフレッチェ広島から移籍したオーストラリアのウェスタン・シドニー、さらに韓国のFCソウルで経験を積み、FC東京に加入した今年の3月に3年ぶりの代表復帰を果たした。当時もハリルホジッチ監督は「経験のある選手」と語り予選での活躍を期待したが、右足の骨折によりアウェーのUAE戦はベンチから戦いを見守ることとなり、帰国とともに離脱した。

しかし、本大会の出場が懸かる残り2試合のメンバーに選出。指揮官は「フィジカル的に興味深く、いいグラウンダーのパスと攻撃のビジョンがある」と評価を語った。しかし、この2試合でも試合に起用されることなく終えており、ここまで“ハリルジャパン”では不本意な状況が続いている。

FC東京のホームである味の素スタジアムが会場となる今回は3試合の日程間隔も短く、出場チャンスが巡って来る可能性は高い。髙萩と言えば4年前に“ザックジャパン”が韓国開催の同大会で優勝した当時のメンバーでもある。特にFCソウル時代の同僚やリーグのライバルも多く参加する韓国戦はおそらく優勝がかかる状況で、髙萩のクオリティと勝負強さを証明し、本大会へのアピールをする大きなチャンスになりそうだ。

小林悠(川崎フロンターレ)

杉本健勇、興梠慎三とのハイレベルな競争を制してJ1得点王に輝き、川崎フロンターレに悲願の優勝タイトルをもたらしたエースストライカーが代表で活躍できるかどうかはクラブのサポーターのみならず、Jリーグのファンにとって大きな関心事だろう。2年前の東アジアカップでは予備登録のメンバーに選ばれながら、ふくらはぎの負傷で選外となった。当時からさらに得点力を伸ばし、今年に関しては目立った怪我も無く、良い状態のままフルシーズンを過ごしてきたことは好材料だ。

今年3月にも大迫勇也の途中離脱により追加招集したハリルホジッチ監督は「中央でもサイドでも、異なるシステムでもプレーできる。自分で点も取れますし、点を取らせることもできる選手」と評価しており、代表でメインとなる右サイドに加え、指揮官が“第三のオーガナイズ”として示唆する2トップの適応力もチェックされることになるかもしれない。

もちろん期待されるのはゴールだが、そのプロセスとしてDFラインの背後にパスを呼び込む動き出しはハリルホジッチ監督の要求と合致する。前からの守備でもハードワークできる選手で、大きくはないがヘディングが強く、セットプレーの守備にも貢献できる。先日の抽選会でグループリーグの対戦相手も決まったが、屈強な相手のディフェンスに対し、一瞬で隙を突いてゴールを仕留められる小林は有効な武器になりうるだけに、まずは東アジアのライバルを相手にJ1得点王の本領を発揮していくことが期待される。

金崎夢生(鹿島アントラーズ)

昨年8月にクラブの試合で起こした問題を理由にメンバーリストから外されてしまった。その後、代表から遠ざかっていたことから“追放”を懸念する声もあったが、指揮官はメンバー発表で「それも過去のことであり、今現在は文句の付けようの無いパフォーマンスをしている。

前の招集もクラブの監督との衝突があったからではない。杉本、小林、興梠との競争で、他の選手の方がより多くの得点を取っていた」と主張した。「前線でたくさん動く選手。他の選手と比較するとパワーがありアグレッシブ」と金崎の特徴を説明する指揮官は日本人FWの中では積極的に“デュエル(1対1)”を挑んでいける珍しいタイプとして評価しており、杉本や小林にもそうした姿勢を見習う様に認めている。

一方でJリーグの得点ランキングに見られる通り、ライバルとなる国内組の選手たちより点が取れていないことも確かだ。ただ、金崎には試合の勝負所や終盤でより多くのゴールを決められる強いメンタリティと体力がある。3試合の中で1人、1人の選手に与えられる時間は限られるが、金崎がゴールという結果を導き出すことができれば国内組との競争はもちろん、海外組を含めたフルメンバーでの真の代表復帰も現実味をおびてくる。